「11641F・11445F」修繕車回送
2012年1月27日、津覇車両にてリニューアル工事を受けた11641F+11445Fが東上線に回送されました。
11641F、11445Fは2011年4月に秩父鉄道線経由でそれぞれ本線に回送され、南栗橋車両管区館林作業所(施工:津覇車両)に入場していました。同年12月にリニューアル工事を終え南栗橋車両管区に回送、工場にて整備を受け今回東上線へと返却されました。
10030系のリニューアル車は東上線初入線となります。
日付 | 内容 |
---|---|
2011年04月20日 | 11641F本線へ回送 |
2011年04月27日 | 11445F本線へ回送 |
2011年12月26日 | 11641F+11445F南栗橋へ回送 |
2012年01月18日 | 11641F+11445F試運転 |
2012年01月26日 | 11641F+11445F羽生へ回送 |
2012年01月27日 | 11641F+11445F東上線へ回送 |
写真募集
11641F・11445F転属回送の撮影をされた方がいらっしゃいましたら、ぜひ、ご投稿ください。
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リニューアル前の活躍
11641F
11445F
羽生駅回送
秩父鉄道の回送前日、南栗橋車両管区から羽生駅まで回送、一晩留置されました。
電気機関車回送
今回の回送は秩父鉄道の電気機関車による牽引となるため、秩父鉄道の車両基地より電気機関車が回送されました。
以前10000系の転属の際は、秩父鉄道ATSを搭載した8000系2両+2両による牽引が行われていましたが、2011年以降、30000系の転属を含め電気機関車による牽引になっています。
なお、8000系の入出場や転属の際は秩父線内を自力走行します。
デキ502号機が担当しました。デキ502号機は、51002F、51091F、51092F、51095Fなど、多くの東上線の甲種輸送も担当しています。
羽生駅
羽生駅にて電気機関車を待つ10000系
電気機関車との連結@羽生駅
秩父鉄道の電気機関車との連結が行われます。入換の指示は東武鉄道の職員(羽生駅)、車両の運転は秩父鉄道の職員の手により行われます。
回送の機関車が引上線に近づきます。
5mほど手前で一旦停車。
係員が機関車より降り立ち、連結の手旗合図。
係員による手旗合図を受け、連結。
ブレーキ管が接続され、ブレーキテストが行われます。
発車待ち
今回はブレーキテスト後すぐに引上線から羽生駅秩父鉄道線ホームに据え付けられました。踏切の締め切り時間はわずか8分間。予告よりも早く終了しました。
秩父鉄道線は3両分の長さのホームしかないため、後部ははみ出して停車です。
普段の8000系回送の停車位置を大幅に超えて停車中。あと数メートルでATS地上子です。
連結部分では、東武鉄道の作業員の方が配管の調整中。踏切の遮断時間短縮のため、引上線では最低限の処置だったようです。
秩父線内
寄居駅
東上線に入るため、一度波久礼駅方に引き上げます。
折り返し東上線へ。
ブレーキ管の接続が解除されます。
連結解除。
電気機関車は秩父鉄道線へ。
すぐにパンタグラフが上昇し、森林公園検修区への回送に向けて、準備が行われました。
回送用機材
今回の回送は、昨年行われた30000系の転属回送や10000系の入場回送の比べ、回送のための改造が大幅に簡素化されていました。
連結器
今回、リニューアル工事に伴い連結器に改造が施されました。中間の16630型・11430型は改造前同様電気連結器つきの密着連結器を使用、両先頭車の11630型・14430型は電気連結器を撤去した密着連結器が使用されています。
牽引を担当する秩父鉄道の電気機関車は自動連結器を使用していますので、これと連結する14445号車のみ、密着自動連結器に交換されています。
反射板
いままで、10000系や30000系の機関車牽引による回送の際は、最後部の車両に尾灯代わりの反射板が取り付けられていましたが、今回は尾灯の点灯も反射板の取り付けもありませんでした。
なお、尾灯や反射板は後部標識と呼ばれる列車の最後尾を示す標識で、省令上は昼間の運行であれば省略することができるようです。(50000系の甲種輸送では取り付けられないことがありました。)
車両前面の手すりに固定されています。
ブレーキ
10000系は電気指令式のブレーキが使用されているのに対し、電気機関車は自動空気ブレーキが使用されています。電気指令式ブレーキはブレーキの強弱を指令線の電圧変化や加圧状態の変化を用いて調整し、自動空気ブレーキはブレーキの強弱を列車に引き通したブレーキ管の圧力変化を用いて調整します。それぞれ、互換性はありません。
いままで、10000系や30000系の回送の際は、各車両各台車に仮設のブレーキ配管が設置されていましたが、今回は仮設配管は設置されず、14445号車に仮設配線があるのみでした。ブレーキ管の圧力変化を電気指令に読み替えたものと思われます。また、今回はブレーキ管とは別にホースが接続されていましたので、元空気管も接続されていたものと思われます。
なお、50000系の甲種輸送も同様に電気指令の読替えが行われているようですが、元空気管は接続せず、ブレーキ管のみ接続、元空気管へ分岐しています。
2本のホースが設置され、1本は車両前面に接続、1本は車内に引き込まれています。
車両前面に接続されたホースは機関車の車内へ。秩父鉄道のデキ前面にはブレーキ管のみ設置されていますので、元空気管と思われます。
機関車のブレーキ管からのホースは乗務員室から車内に引き込まれています。読替え装置に向かうものと思われます。
車内から床下のブレーキ制御装置まで配線が接続されています。読替え装置からの配線と思われます。
参考文献
- "プロが教える電車のメカニズム"(谷藤克也,ナツメ社,2011)
- "鉄道のしくみと走らせ方"(昭和鉄道高校編,かんき出版,2007)
- RailMagazine 2012年2月号(ネコ・パブリッシング)
- 鉄道ダイヤ情報連載"Dr.AZUSAの「電車基礎講座」"(梓岳志,交通新聞社)
- 鉄道ピクトリアル臨時増刊号"【特集】東武鉄道"(電気車研究会,2008)
- 鉄道に関する技術上の基準を定める省令
- 各種Webページ(連結器、ブレーキ装置関連)
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